ガラスの靴をもう一度


葉山さんもそれ以上は聞かず、ドライヤーを貸してくれた。

「傘もお貸ししますから」

「すいません…」

何やってんだろ私。

情けなさ過ぎて、大きなため息をついた時、ドアのノック音と共に、別の店員さんが入ってきた。

「葉山さん。相沢さまがお見えですけど」

えっ!?

思わずドライヤーを切った。

まさか、雅貴…?

葉山さんは立ち上がると、

「すぐに行きます」

と返事をしていた。

「あの、葉山さん。雅貴には…」

私がいると言われては困る。

すると、すぐに察したのか、笑顔で「黙っていますから」と言い残し、店内へ戻って行ったのだった。

それにしても雅貴、何でここへ来たんだろう。

すると、ドア越しに二人の会話が聞こえてきた。

「雅貴さん、どうされたんですか?」

「これ。葉山さん、直せるかな?」

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