ガラスの靴をもう一度
「私、いつも雅貴に依存してた…」
「それは俺も同じ。お互いに、存在が当たり前過ぎたんだな。何かを言わなくても、想いは通じ合ってる、そう思い上がってたのは俺だよ」
大切に思うからこそ隠す。
当たり前な存在だからこそ、話さない。
そこにはいつだって、雅貴の愛情があったのに、信じきれなかった。
だから、本当に大事な人を失ってしまったんだ。
「萌は、俺の妹でもあり恋人でもあり、誰にも代われない大事な存在だった。それだけは、知っておいて欲しい」
「うん…。ありがとう、雅貴」
涙が止まらない私の頭を、雅貴はもう一度、優しく撫でてくれた。
そして、それが雅貴と会話をした最後で、雅貴はニューヨークへと飛び立ったのだった。