ガラスの靴をもう一度
雅貴が、そこまで考えていてくれてたなんて、まるで知らなかった…。
「だけど、お父さん。もう遅いよ。私はもう少しで、川上くんとニューヨークなの」
今さら知ったところで、どうにもならない。
すると、お父さんは一通の白い封筒を差し出した。
「川上くんも立派な人だ。だけど、萌。本当に幸せか?もう一度、よく考えなさい」
そう言って、部屋を出て行ったのだった。
「何よ、お父さん。勝手な事ばかり。今さら、何も出来ないでしょ」
それにしても、この封筒は何?
裏に書かれている差出人の名前を見た途端、一瞬息が止まった。
“相沢雅貴”
それは、雅貴からの手紙だった。