ガラスの靴をもう一度


ゆっくりと封を開けると、手紙と航空券が入っていた。

震える手で、手紙を読む。

雅貴は意外と達筆で、知性のある字でそれは書かれていた。

“萌へ。直接言えなくて、ごめん。どうしても、拒否される怖さから、手紙なんて情けない真似をしてしまいました。

俺は、今でもずっと萌が好きだ。何をしていても、何をやっていても、頭の片隅にはいつも萌がいる。

この間は、社長室まで来てくれたのに、無視するような事をしてごめんな。

萌が力になりたいと言ってくれて、本当に嬉しかったよ。

だけど俺はいつも、萌にとって、自分が支えでなければいけないと思ってたんだ。

10歳も年下の萌に、心配事をかけさせたくなかった。

いつだって、俺が守りたかったんだ。

だけど、それは萌にとっては、不安でしかなかったんだな。

気が付かなくてごめん。

これを、最後の告白にするから。

萌、もう一度、俺とやり直してくれないか?

同封の航空券は、ニューヨークまでの片道になってる。

その日、俺は空港で待っているから。

もし、萌が来てくれなかったら、その時はキッパリと諦める。

だから、もう一度、考えて欲しい。

川上とではなく、俺とニューヨークで一緒にいて欲しいから。

待ってる。
雅貴 ”

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