ガラスの靴をもう一度
航空券を見つめていると、雅貴が記者会見で頭を下げていた事を思い出す。
メディアで報道された直後、雅貴はお詫びの会見を開き、そこで頭を下げていた。
たった一人で大きな会社を束ねる、その凄さを実感した瞬間でもあった。
その雅貴が書いた手紙が、どれほど真剣なものであるか。
それは疑う余地もなく…。
だから、絶対にこっちも、真剣に応えなくちゃいけないんだ。
窓から見える青空を眺め、遠く海の向こうにいる雅貴を思い描く。
そして航空券を、そっとチェストの引き出し奥へと、しまったのだった。