ガラスの靴をもう一度
「ちょっと、原田さん!やめてくださいよ。これは、私が持って行くんです!」
わざとらしく睨んでも、原田さんはしつこく、まとわりついてきた。
「私が行きたいの~!」
そう言ってダダをこねている人は、れっきとした私の先輩。
1歳年上の26歳、原田莉子(はらだ りこ)さん。
年齢こそ近いけれど、原田さんは短大出だから、すでに社歴6年という中堅社員なのだ。
サバサバした性格に、派手な顔立ち。
細かい事が大嫌いな割には、仕事が出来る人で、入社した時から意外と気が合っている。