Kiss Kiss Kiss
「どうしたの?」

「なんか酔ってるみたいで
朝陽さんはいないって言ってるんですけど…」

江上さんが むっくり顔をあげて

「白川 真澄…!!!」と指をさした。

「そうだけど 誰?」

「あ 出版社の朝陽さんの担当の方です。」

真澄さんのオーラに圧倒される。

「瀬崎なら出かけたわよ。」

「嘘つかないで……
あなたとよりを戻したんですか?」

「は?」

「最近全然相手にしてくれなくて…
来月の旅行に誘ったら…もう行けないって
言うんだもの……絶対絶対
今までそんなこと言わなかったのに……」

真澄さんも首を傾げた。

「先生が好きなんです・・・・・。
もう会わないって言われたら
どうしたらいいのか……。」

江上さんは顔を覆った。
マニキュアがきれいだった。

「ふ~~~ん……。」


真澄さんが少し納得したような顔をした。

「瀬崎はいないけれど
落ちつくまでどうぞ。こんなとこで
大騒ぎされても困るから・・・・。」

真澄さんはまるで
本宅に乗り込んできた愛人を扱うように
それはそれは落ち着きはらっている。

フラフラと江上さんが立ち上がったから
私は肩を貸した。
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