Kiss Kiss Kiss
指輪は箱にしまった。
ちゃんとするまで お預け……。

眠たくて一日中あくびをしていた。

朝陽さんは仕事部屋にこもりきりで
昨日の朝陽さんじゃない

厳しい横顔の朝陽さんがいた。

コーヒーを置いて静かに部屋を出る。


うとうと
うとうと……


中庭からの日差しが温かくて
そのうちソファーで眠ってしまっていた。


しばらくして 声が聞こえて
目が覚めた。

体には真っ白なタオルケットがかかっている。


人の気配に目を閉じる。

「彼女に本当のことを言ったの?
星子さんが愛人だったことも?」

「ちゃんと説明したよ。」

「朝陽が星子さんを愛してたことも?」

「うん。」

「そう……私もちょっと言い過ぎて
ごめんなさい。大人気なかった。」

「いいや
真澄が怒るのは仕方がないよ。
全部悪いのは俺だし……。」

「俺?朝陽が俺って言うの久しぶりに聞いたわ。」

「素に戻ったっていうのかな……。
もう恰好つけるのも面倒になった。
自分を出せる人の前では 素直になるよ。」

「それで 彼女は何て言ったの?」

「受け入れてくれたよ。
俺の過去も 星子さんの過去も……。
プロポーズも……。」

緊迫した空気が流れ始めて私は身を固くした。
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