Kiss Kiss Kiss
「もう人生折り返しきてんだから
そろそろ人間らしく生きた方がいいよ。
ブサイクなら安心だよ。」

「ブサイクって呼ぶなって……。」



朝陽さんが苦笑した。

「こんなに魅力的できれいなのに……。」

恥ずかしくて頬が赤くなる。

「やってらんねーな~~~
息子だってまだ多感な年ごろだからね
気をつけろやな。」


司が笑った。

「許してくれるの?」

呆気なく受け入れられて肩すかしを食らった気分。

「お前なら親父を幸せにしてくれそうだ。」

「ありがとう。」

「おまえも幸せになれるよ。
親父が真剣に 夫稼業についたら
奥さんも子供も 幸せになれるよ。」


「おまえには本当に悪いことをしてきた。
父親らしいこともせず……おまえの将来にも
アドバイスもできず……これからは
少しでもおまえのために考える親父になりたい。」

「サンキュー……
ババァが言ってたよ 親父は父親と
相性が悪くて家族に恵まれなかったから
家族っていうものがよくわからないんだろって…。」

「司にはたくさん謝りたいことがある。
寂しい思いをさせて悪かったな。」

朝陽さんは 司に頭を下げ続けた。
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