Kiss Kiss Kiss
毛布のおかげか 
それとも朝陽さんと二人っきりの空間が
狭すぎて緊張しまくってるのか

雷の音も遠くなった。

「小さいころさ よくこうやって
布団の中にもぐりこんだよ。」

「え?何か怖いものがあったんですか?」

「あはは
恥ずかしながら両親の喧嘩が怖かったんだ。」


朝陽さんは笑っていたのに
急に悲しい顔に変わった。

「うちの父親は今でいう家庭内暴力で
母と私はいつも怯えて暮らしていた。
外でいい顔をして 家に帰るとそのストレスを
家族に向けていたんだ。
私もずいぶん殴られたな~」

「そうなんですか?
かわいそうに・・・・・。」

「母親がガンになったときも
優しい言葉一つかけず死ぬまで
言葉と態度の暴力を繰り返していた。
母は何度も何度も私にすまないと泣いた。
母がいなくなって父親とすぐにやってきた愛人との
暮らしが始まった・・・・・。
早く……早く家を出たかった……。」

「朝陽さん……ごめんなさい!!」

「え?どうして夕日ちゃんが謝る?」

「だって私が怖がったから……
思い出しちゃったんでしょ?悲しい思い出なのに
ごめんなさい……!!」

私は申し訳なくて涙が溢れた。

「泣き虫だな 夕日ちゃんは・・・・。」

いつもの笑顔の朝陽さん
私の涙を指で拭いてくれた。
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