金曜日の彼女【完】
駅前の賑やかさとはまるで違う静かな住宅街。

「こ、航平?どうしたの?」

「……」

だけど、航平はただ無言で私の手を引いて歩く。


ふと、足を止めた航平。

目の前にあった公園を見つめている。

「…航平?」

「琴葉…ちょっと話があるんだけど…いい?」

そう言って公園を指差した。


「え…う、うん」

話って…なんだろう。一気に緊張が走る。



灯りの下にあるベンチに2人で座る。

昼間と違って、薄暗い公園は少し不気味にも感じる。

すぐ横を車が通らなければ、きっともっと寂しい場所だっただろう。



「航平…話って…なに?」

この薄暗い場所でずっと沈黙が続くのはイヤだった。


「うん…あのさ…琴葉…彼氏と…マジで別れたんだよね?」

「え?―――…う、うん」

どうして、そんなこと聞くの?

「ごめん…しつこく何回も聞くみたいで…だけど本当のことが知りたくて…」

そう言って本当に申し訳なさそうな顔をする。

「―――…別れたのはホントだよ。……突然いなくなったし…」

「い、いなくなった?」


―――気づいたら、私は航平に今まで起こったことを話していた。

どうして話してしまったのか、わからないけど、一度は好きになった航平にどこかで助けてほしい、と思っていたのかもしれない。


寂しい今の心を―――

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