金曜日の彼女【完】
全てを話し終えて、小さく溜め息を吐く。

「――…琴葉」

不意に視界が遮られたと思ったら、目の前には航平の黒いシャツ。

「…辛かったよな」

いつの間にか、航平の腕の中にいた。


「…航…平?」

「…俺さ、ずっと後悔してた…別れたこと」

私を抱きしめたまま、航平はゆっくりと話し始めた。

「あの日、久しぶりに琴葉と会って、忘れたくても忘れられなかった感情を…思い出した」

あの日――…私は龍太と初めてキスをした。

「…だけど、琴葉のそばには彼がいて――…」

でも、今は、もういない――…

「もう…諦めようって思ってた…」

そう――…もう、諦めなきゃ……一歩も前に進めない。

「でも、今日再会して…彼と別れたって聞いて…」

龍太とは―――もうホントにダメなんだよね。

「だから――…俺ともう一度」

今度こそ、本当にさよならしなきゃね…。

「付き合ってほしい…」

私、進んでもいいかな――…新しい――恋に。


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