金曜日の彼女【完】
航平との交際が順調に進めば進むほど、私の心の中の龍太は逆に大きくなっていく。

キスをしても、デートをしても、ただ2人で手を繋いで歩くときでさえも―――…



忘れたかった。

だから―――航平を選んだ。


なのに、私は龍太と航平をいつも比べている。

それがどんな些細なことでも――…



忘れたい

忘れなきゃ

忘れよう



―――…どうして―――忘れられないの…


――もう、いない。

どこにも龍太の姿はないのよ。

ほんのひとときの夢だっただけ。




航平―――ごめんね。

いつか――忘れるから。

もう少しだけ待ってて。



そう決心したのに……



どうして…

どうして忘れさせてくれないの?

龍太―――


< 122 / 359 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop