金曜日の彼女【完】
「ハァ……」

深く溜め息を吐き、その場に石のように固まっていたけれど

ようやく力なく立ち上がると、フラフラとしながら店をあとにした。





それから数日間、航平とは一切連絡をとらなかった。

1日十何件と着信やメールが来ていたけれど、そのすべてを無視し続けた。

最低最悪の彼女だ。



ホントに…なにしてるんだろうか…。

もうきっぱりと諦めなくちゃ。

そして、航平とちゃんと向き合おう―――…。




そんな風に思い始めていたある日。

~♪♪♪~

突然鳴った携帯に表示された知らない番号――…

誰…?航平…もしかして…誰か他の人の携帯使ってかけてきた…とか?

一瞬、出るのをためらったけれども、一向に鳴り止む様子もない。

仕方なく通話を押しておそるおそる耳に当てる。

「…はい、もしもし?」

『……』

なにも喋らない。

「もしもし?」

『……』

む、無言電話!?やだ、出なきゃよかったかな。

気持ち悪くなって受話器を耳から離そうとした――…。


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