金曜日の彼女【完】
第9章

再会と別れ―1―

どれぐらいの時間が過ぎたのか。



私を抱きしめたまま、ピクリとも動かない龍太。


すると

「――…琴葉だ…」

「え」

突然、発した言葉に少し身をよじって龍太を下から覗き込む。

龍太は、だけど、そんな私の頭を引き寄せて、髪に顔を埋めると


「…――琴葉がいる」

そう呟いた。


――…龍太。

夢じゃない。

本物の龍太がここにいる。



引き寄せていた頭をそっと離す。

代わりに頬に置かれる手。


視線が―――…絡まる。


そして――…

「…―――ん、」

ほんの少し、ひんやりとするモノが私の唇を塞ぐ。

優しく――…

「んんっ――…」

ほんのりと…甘く、切ない――龍太との…二度目のキスは

頬に残る…ほろ苦い涙の味がする―――。

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