金曜日の彼女【完】
「ああ!?なんだ?」

サングラスの人が勢いそのままに私に凄む。

「ご、ごめんなさい!」

「おい!おっさん!琴葉が怖がってるだろうがっ!このくそ野郎が」


…な、なんか、こんな龍太、初めて見るかも…。

ちょっと子供っぽいっていうか…。

「あ、ごめんごめん。ついつい、龍太と話してるときのままで答えちゃった」

「…ったく。大丈夫か?琴葉」

さっきまでとはまるで違う優しい表情の龍太。

「あ、うん。大丈夫。…龍太…この人は?」

「あー…ただのおっさんだから、気にするな」

「は?」

ただの…おっさん?なに、それ―――…

「こらっ!龍太、なんだその説明は!――…えーっと…戸田さんだっけ?」

「はい!?」

突然名前を呼ばれてびっくりしてしまった。

「んーと…電話でこの間、話したんだけど…ね」

さっきまでの威圧的な態度と違って優しい口調で話しかけてくれている。

「電話…ですか?」

「JINプロダクションの作本 仁です」

相手はニコッとしながらサングラスを外した。

「え?作本…さん!?」

って―――…あの名刺の人!?

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