金曜日の彼女【完】
「い、いや…そんなつもりは…」

「あら、じゃあ私と…付き合いたい…とか?」

とても15歳とは思えない――…妖艶な表情。

彼女が好きだ…確かにその気持ちがあった。だけどそれ以上に


「もちろん…君と付き合いたい。それと……君を…撮りたい―――」


気がついたら、彼女の手を握りしめていた。

だけど、それに特に動じる様子もない。


そしてスッと立ち上がる。


「――…いいわよ、付き合っても。ただし―――…」

彼女は俺の前に立つと

「あなたと付き合うのは―――金曜日だけよ」

そう言って悪魔のように―――微笑んだ。



それが彼女――――龍太の母親――聖香との出会い。


―――――…

―――…


「…金曜日だけって…それって…――」

その言葉の意味を知っているのか―――苦笑する作本さん。

「そう――龍太と同じだね。そのことは俺もつい最近、知ったことだけど…ね」

母親と同じことを―――

ああ…復讐――…。

前に沖本君から聞かされた龍太の話。


女に復讐している――と。


こういうことだったんだ…。


あ――――…

「せ、聖香って…え、あれ?まさか…SEIKA?あの女優の?」


SEIKA―――今や飛ぶ鳥を落とす勢いで、日本で最も売れているといっても過言ではない女優。

強気な発言とは裏腹に繊細な演技をする――と評判。

そしてもっとも彼女を有名にしているのは―――


父親が元総理大臣の竹内 総一郎ということ。

彼女はこのスキャンダルを逆手にとって仕事をとっている…と。


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