金曜日の彼女【完】
「フッ…そうだったな。ついつい2人を見てたら昔のことを思い出してしまってな」

――…昔のこと。

初めて聞く、龍太の両親の話――――…。



「確かに…お前が知ってる聖香は毎日違う男を連れていて…そして俺もその中の1人に過ぎなかった」

龍太は鼻をフンッと鳴らし、そんなことはわかりきってることだと言いたげに、自嘲気味に笑う。

「だけどな――…お前がアイツに捨てられたって思ってるなら…それは間違いだぞ?
―――…むしろ、捨てさせたのは俺…だから」

作本さんがスッと立ち上がり、窓の外の景色に視線を置く。

「――…どういう意味だ?」

龍太の顔が歪む。

「彼女――…聖香とは最初は…金曜日だけの付き合いだった」

私は思わず龍太を見上げた。

龍太も同じように私を見ていて、苦笑する。

「毎週、金曜日に会って…いろんな彼女を撮って…もちろん普通にデートすることもあったけど…
いつの間にか俺は彼女自身にも彼女を撮ることにも…夢中になっていた」

「――…それから?」

私の肩を抱く龍太の手が……微かに震えていることに気がついた。

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