金曜日の彼女【完】
あまりにも複雑で、本当に聞いてもいいのか、と迷う。


「…だけど…琴葉にはちゃんと俺のこと知ってほしい…。聞いてほしいんだ」

私に―――…

私でいいの?


「本当に…私、このまま聞いててもいいの?」

「ああ」

またフッと笑って私の肩をキュッと抱きしめる。


「琴葉ちゃん?」

「はい?」

作本さんに呼ばれて視線を向けると

目を細めながらも、優しくふわりと微笑んでいる。

「君に話そうと決めたのはね、君が龍太にとって…どんな存在かを…知ったから…なんだよ?」

「――…存在…ですか?」

龍太にとっての私という存在――。

「そう。君は特別な存在らしいからね――――」

「え?」

「おい!おっさん!話の続き!」

作本さんの言葉を遮るように話を元に戻す龍太。


―――――…特別。今までも何度か聞いた言葉。

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