金曜日の彼女【完】
龍太が私の髪に指を絡ませながらそっと…撫でる。


「―――…琴葉」

「…ん」


「……――ごめん…な」

「…――え」

龍太の手の動きに集中していた私は一瞬、なにを言われたのかわからなかった。

龍太を見つめるとゆっくりと龍太が顔を上げた。



「龍太?」

「うん――…ごめん、いろいろ…」

そう呟きながら、私の後ろ頭を抱えてそっと引き寄せると、おでこにチュッとキスをする。

「龍太――…」

私は腕を龍太の背中に回してそっと抱きしめた。

「――…龍太―…好き」


ずっと――言いたかった言葉。


「――…琴葉…俺も…好きだ」



ずっと――――…

聞きたかった

そのたった一言――…。


“好きだ”


堪えていた涙が自然と溢れる。



龍太がそれを指でそっと拭い、今度はその頬にキスをする。


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