金曜日の彼女【完】
「この部屋って…お母さんが用意したの?」

作本さんはもう何日もここにいるようで

部屋の一部が仕事場になっている。


「んー…それはちょっと違う…金を出してるのは…じじい…だな、多分」

「じじい?」

「俺の…じいさん」

「――あ……竹内 惣一郎?」

コクリと頷く。

そうだ…SEIKAのお父さんの竹内 惣一郎は龍太のお祖父さんになるんだ。


「龍太は…その…お祖父さんと会うことはあるの?」

すると龍太は母親の話をするとき以上に不快な表情を見せた。

「嫌い…なの?お祖父さんのこと」

「ああ…この世で一番嫌いだね」

吐き捨てるようにそう言い


「竹内っていう姓も今すぐ捨てたいぐらいだ」

「龍太…」

そっとその横顔に手を添える。


まだ―――たくさんの苦しみや哀しみが龍太の中にはあるんだね。


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