金曜日の彼女【完】
会いたい…だと?

今さら…

なんでだよ。

―――――――…

―――――…


「龍太…か?」

俺の目の前に現れたのは、まだ30代前半か半ばぐらいの――男。

「―――大きくなったなあ」

それなりに整った顔をくしゃくしゃにしながら俺を―――


抱きしめる。



「ずっと…会いたいと思ってたんだ」

なんて、言いやがった。


俺は会いたい…だなんて思ったこともねーよ。

なのに…調子狂う。


ずっといないものだと思っていた父親。

いきなり現れて。

いきなり抱きしめきて。


――――…

血の繋がりは…切っても切れないということか。


気がついたら俺はコイツに引き込まれて

気がついたらコイツのペース…

琴葉のことも――…

コイツがいたからまた、会うことができた。


そして―――…今。


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