金曜日の彼女【完】
「――――…は、琴葉!琴葉!」

「…へ?」

「家…着いたけど…」

龍太が心配そうに覗き込んでいる。



あ…そっか。

あれからしばらくして作本さんが戻ってきて…

送ってもらったんだ。


「……あー…ごめん、私、寝てた?」

「ああ、まあな。なんか寝言みたいなの言ってたし…」

「寝言?やだ…恥ずかしい」

思わず頬に手を置く。

「バーカ…今さら。どんな夢見てたんだよ」

クッと笑って私をさらに覗き込む。

「――――…覚えてない」


夢……――だったのかな。


首を傾げる私に


「いったい…どんな夢だったのか」

やれやれという感じで頭を撫でる。


私に優しく触れるこの手の感触…。


また…しばらくの別れ。



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