金曜日の彼女【完】
「…うん…待ってる」

そしてバタンと助手席のドアが閉まると――…エンジンをかけた車は滑るように発進して

帰っていく。


走り去る車のテールランプをジッと見つめながら

こんな思い…いつまで続くんだろうか…。


引き留めればよかった。

なんて、気づけば考えてしまう。


―――切ない思いが胸を埋める。


―――――――――…


―――――…

“見つけて―――”

え…―――

“僕を――…さがして。僕もさがすから”

“約束だよ?約束のしるしに―――…”

また―――…


――…男の子?

「――…痛っ!」

思い出そうとして、頭に走る鈍い痛み。


――…いったい…誰?

名前も顔さえもわからないのに…。

どうしてこんな気持ちになるの?


龍太と別れたときのような

切ない、寂しい…気持ちに。


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