金曜日の彼女【完】
そのまま彼は私をジッと見ている。
「あ、あの…?」
「――…あ、ゴメン…琴葉ね。俺は竹内 龍太。龍太って呼んでいいから。ヨロシクな」
「あ、うん……よろしく」
一瞬――…ほんの一瞬だけど、彼の表情が歪んだ気がした。
だけどホントにそれは一瞬で、すぐにいつもの顔に戻っていた。
それから何人かが図書室に来たので黙々と仕事をこなしていった。
空がオレンジ色に染まり始め、もう図書室に来る人もいなくなってきた頃。
「…さて、そろそろ終わろうか」
「そうだね」
片づけをして2人で図書室を出た。
「琴葉」
「ふぇえ…!?」
いきなり名前を呼ばれて、変な声を出してしまった。
「クッ、なんだ?その返事」
クックッと笑いを噛み殺す彼。
「えぇ!?…いや、だっていきなりだったから…な、なに?」
「あー…外、暗くなってきたし送る」
「え…大丈夫だよ?駅近いし…」
いや、ホントは送ってほしいけど…ってだったらなんで断ってるのよ!私ってば。
「遠慮しない!さっ、行こ!」
そう言うと私の手を取って歩き出した。
――…えっ…えっ!?…手、手を…繋いでる!?
パニックになりつつ、繋がれた右手を見つめながら2人で薄暗くなった校舎をあとにした。
「あ、あの…?」
「――…あ、ゴメン…琴葉ね。俺は竹内 龍太。龍太って呼んでいいから。ヨロシクな」
「あ、うん……よろしく」
一瞬――…ほんの一瞬だけど、彼の表情が歪んだ気がした。
だけどホントにそれは一瞬で、すぐにいつもの顔に戻っていた。
それから何人かが図書室に来たので黙々と仕事をこなしていった。
空がオレンジ色に染まり始め、もう図書室に来る人もいなくなってきた頃。
「…さて、そろそろ終わろうか」
「そうだね」
片づけをして2人で図書室を出た。
「琴葉」
「ふぇえ…!?」
いきなり名前を呼ばれて、変な声を出してしまった。
「クッ、なんだ?その返事」
クックッと笑いを噛み殺す彼。
「えぇ!?…いや、だっていきなりだったから…な、なに?」
「あー…外、暗くなってきたし送る」
「え…大丈夫だよ?駅近いし…」
いや、ホントは送ってほしいけど…ってだったらなんで断ってるのよ!私ってば。
「遠慮しない!さっ、行こ!」
そう言うと私の手を取って歩き出した。
――…えっ…えっ!?…手、手を…繋いでる!?
パニックになりつつ、繋がれた右手を見つめながら2人で薄暗くなった校舎をあとにした。