金曜日の彼女【完】
だけど、あれから何度聞いても時間も場所も龍太は教えてくれない。



「なんかびっくりするような企画でも考えてるんじゃないの?」

有紗はそう言うけれど…ホントに会えるのかな。

日に日に不安な気持ちの方が強くなる。



そして――…

もう一つ…

龍太と最後に会った日から時々見るようになった―――…夢。


“約束――…”

“見つけて――”


思い出そうとすると、頭に鈍い痛みが走る。


それでも…とても大事なことのような気がして…

思い出さないといけない気がする。



“ねえ、ことはちゃん…ぼくね――…”

“じゃあ、約束――…”

“うん、約束のしるし――…”



“あらっ…まあ…可愛いわねえ…”

“ホントに…”

――…お母さんと……誰?


「…痛っ…」

窓からは朝日が入り込んでいる。いつの間にか朝になっていた。


また――…あの夢。

少しずつ増えていく記憶の端々。


だけど…肝心なところでいつも、頭の痛みに目が覚める。

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