金曜日の彼女【完】

クリスマス

わけのわからないこと叫ぶ和兄はほっといて、私はキッチンにいる母のところに行った。

「お母さん!!…私、龍太のこと…話したことあったっけ…」

覚えている限り、そんな話をした記憶がない。

「んー…そういえば琴葉からは聞いたことなかったわねぇ」

パタパタとキッチン中を動きながらも呑気に笑顔で答える。

「…じゃあ…いったい誰から?」

「龍太君からよ?」

決まってるじゃないのっていう顔で私を見る。


――…一体、いつから母と龍太が繋がっていたんだろうか――…

全然知らなかった。

そんな話、母からももちろん龍太からも聞いたことなんてなかったし…。



「ちょっと、琴葉!そんなことよりも手伝ってよ」

「は?」

そういえばいつもにも増して忙しそうに動き回ってる母。

「朝からなにやってんの?」

「なにって、アンタ…あ、そっか!」

なにかを言いかけて口元を慌てて手で押さえた。

「…なに?」

怪訝な顔をすると

「なんでもないわよ!…とりあえず手伝って!はい!」

聞く間を与えないかのように有無も言わせずボールを渡された。

「ケーキ作るんだから、混ぜてて」

「は?ケーキ?」


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