金曜日の彼女【完】
鼻歌まじりでリビングに戻れば、和兄が恨めしそうに睨んでいる。

勘弁してよね。

そんな兄貴の横を素通りして母のところに戻る。

「電話、龍太君からでしょ?なんだって?」

チラッと和兄を見れば、ますます不機嫌な顔をしている。

「うん、6時に来るって」

「あらっ!それは大変。急がないと」

「は?」

…一体、なんだろう。

「ほらっ!琴葉はサラダ作って」

今度は数種類の野菜を手渡された。


よく見れば、なんだかパーティーでもするかのような料理が用意されている。

「お母さん?」

「ほらっ早く!手を休めないで!」

そう言ってさらに忙しそうにパタパタと動き始める。



ますます頭の中の疑問が増えてく。

やたらと量も種類も多い料理。

龍太からの伝言を聞いてさらに慌てて動き出す母。


まさか―――…ね。


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