金曜日の彼女【完】
「…龍太」
ゆうたくんだとばかり思っていた。
というか、今の今まで顔も名前さえも忘れていた。
どうして?
こんな大切な思い出を?
そんな私の疑問は母によって晴らされた。
「実はね…琴葉、えり子ちゃん達がいなくなってしばらくして…交通事故に遭ってね。そのショックであの頃の前後の記憶がかなり曖昧だったの。覚えてなかったのはきっとそのせいね」
―――…そういえば。
入院していた記憶はある。
注射がイヤだとか言って母を困らせた、そんな記憶は残っている。
心配そうに覗き込む龍太のお母さんと作本さん。
「プッ…トロいヤツ」
そう言って笑う龍太の頭を隣に座っていた作本さんが思いっきり叩いた。
「――…いってよー、おっさん!」
「お前はー…口を慎め!それに俺はおっさんじゃねーだろ」
「うるせー、おっさん!」
…またなんか醜い争い始めてるし。
そんな2人の様子を穏やかな表情で見つめているえり子さん。
―――…親子の問題はどうなったんだろうか。
今日、作本さんが一緒に来た意味を
そのときの私はそんなに重要には考えていなかった――――…。
ゆうたくんだとばかり思っていた。
というか、今の今まで顔も名前さえも忘れていた。
どうして?
こんな大切な思い出を?
そんな私の疑問は母によって晴らされた。
「実はね…琴葉、えり子ちゃん達がいなくなってしばらくして…交通事故に遭ってね。そのショックであの頃の前後の記憶がかなり曖昧だったの。覚えてなかったのはきっとそのせいね」
―――…そういえば。
入院していた記憶はある。
注射がイヤだとか言って母を困らせた、そんな記憶は残っている。
心配そうに覗き込む龍太のお母さんと作本さん。
「プッ…トロいヤツ」
そう言って笑う龍太の頭を隣に座っていた作本さんが思いっきり叩いた。
「――…いってよー、おっさん!」
「お前はー…口を慎め!それに俺はおっさんじゃねーだろ」
「うるせー、おっさん!」
…またなんか醜い争い始めてるし。
そんな2人の様子を穏やかな表情で見つめているえり子さん。
―――…親子の問題はどうなったんだろうか。
今日、作本さんが一緒に来た意味を
そのときの私はそんなに重要には考えていなかった――――…。