金曜日の彼女【完】
「…ごめんね、琴葉ちゃんにこんな話をして」

「……」

静かに首を横に振る。


みんな―――私になにを望んでいるの?



考えてみれば

私は金曜日だけの彼女だった。

たまたま幼い頃の知り合いだった。


それでも

龍太が私を求める限り、支えていきたいって思っていた。


だけど、龍太の闇は予想以上に深く、底がまるで見えない。

こんな気持ちのまま、私は龍太の傍にいてもいいのだろうか。




「どうして…」

「え…」

「どうして…その人の言う通りにしたんですか?」

「――…竹内の気持ちも…聖香の…夢もわかるから」

龍太のお母さんはそう言うけれど

そんな大人の勝手な想いで龍太はずっと苦しんだんだよね。


――…竹内の気持ちって?

聖香の夢って?


そんなの龍太には全然関係ないのに――…。

「そんなの…大人の勝手な都合ですよね…」

そう言う私に

「――…そうね。結局はなにを言ってもただの言い訳…。龍太を傷つけてしまったんですものね」

龍太のお母さんは力なく眉を下げて微笑んだ。


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