金曜日の彼女【完】
第14章

約束

――――――…

――――…


音のない静かな夜。

聞こえるのは、龍太の心臓の鼓動と吐息だけ。

世界に私達だけしかいないような

そんな感覚。


一階には家族がいるはずなのに

不思議なほどに今はなにも聞こえない。

私達だけの時間。



「琴葉」

「――なに?」

「お前…あのときにした約束―――覚えてる?」

「あのとき?小さい頃の?」

「そう…俺が…引っ越す前にした約束…」

「――見つけて…忘れないで…指切りした―――」

「…あとは?」

「……」


首を傾げる私を見て、フッと笑った龍太。

「―――ま、いっか。そのうち思い出すだろ」

そう言ってギュッと抱きしめる腕の力を強めた。


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