金曜日の彼女【完】
部屋に入ると、龍太はベッドにもたれかかるように座っていた。

さっきよりも幾分、落ち着いているようで、部屋の中も暖房がよく効いてきていて暖かい。


「はい、ホットミルク」

コトリとテーブルの上に置くと、ベッドから手を伸ばしてそれを掴む。

「…サンキュ」

カップを手で包み込むように握る。

「…温かいな」

フッと表情を緩めて、笑みを溢す。


私もカーペットに座った。


「琴葉…」

龍太がベッドに座ったまま自分の横を指差す。

「え?」

「そこだと…寒いだろ?」

「え…あ、」

躊躇していると、腕をグイッと掴まれて横に座らされた。


そして―――…

そっと抱きしめられて。

「この方が…暖かいだろ?」

そう言って笑う。



「……」

できれば向き合いたくなかった。

龍太を見れば

私はきっとなにも言えなくなる。



どんなに

行ってほしくない、そう思っていたとしても―――…。


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