金曜日の彼女【完】

赤い印

―――――………


しんと静まりかえる部屋。


耳に届くのは

カチコチと規則正しく鳴る時計の針の音と

波打つように響く

2人の心臓の音――…。


「…琴葉」

掠れた声が耳に甘く響く。


「――…後悔…しない?」

私を覗き込みながら、戸惑い気味にそう問われる。

「しない―――大丈夫」


後悔なんて―――


それよりも

早く龍太のものになりたかった。

確かなものがほしかった。




ゆっくりと、だけど決意したような龍太の漆黒の瞳が近づいてくる。


「―――……ん…」



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