金曜日の彼女【完】
―――…そのまま、踵を返すと遠ざかっていく。


「―――…っ…ちょっと待ってて!!知り合いがいたから」

「え!?美央?」


驚いている彼をそのままに

走った…。

あの懐かしい後ろ姿を追いかけて――――。


角を曲がったところで、少し前を歩く先輩を見つけて


「――…っ…先輩!!龍太先輩!!」

懐かしい人の名前を呼んでいた。



ピタリと足が止まり、ゆっくりと振り向く。


そして私の方へと近づいてくる。

「…なにやってるんだ?彼氏ほったらかしで」

フッと笑いながら、コツンとおでこを軽く叩く。


「先輩…」

ホントに…本物の龍太先輩だ。

あんなに会いたいと願った…龍太先輩が、目の前にいて、だけど、私の視界は滲み、先輩が霞んでしまう。


「…美央?――…優しそうな彼氏じゃん。大事にしろよ?」


先輩…

今までどこにいたの?

なんで急にいなくなったの?


いっぱい聞きたいことはあった。

だけど――――…。


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