金曜日の彼女【完】
それでも―――…

時が経つとともに

貴明の疑いの目も少しずつ薄れていき。

また昔の優しい貴明に戻りつつあった頃。


突然、琴葉から連絡が入った。



琴葉が私に話があるなんて龍太が絡んでるに決まってる。

琴葉も宮内と付き合い始めたと聞いていた。

なのに、なんで今さら…?


そして――…

工藤 麗美からの名刺を握りしめて悩み苦しむ彼女に


宮内がどれだけ琴葉を好きかを伝える。


琴葉にそう言いながら私は―――…そう自分自身に言っている 。


貴明がどんなに私を大切にしてくれているか。

どんなに好きでいてくれているか。

いやというほど知っていたのに――…。


一時でも龍太に心を奪われた。


龍太に抱かれた。

溺れた。



私は琴葉に

「もし龍太に会ってももう私には知らせないでね」

そう言い切った。


もうこれ以上

貴明を悲しませたくなんかないから。
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