金曜日の彼女【完】
「竹内、久しぶりだね」

「おっ、有紗ちゃんだっけ。久しぶり」

龍太が有紗に近寄ったそのとき―――…


バキッ!

「――…え」

「―…ぃてー」

有紗の右ストレートが龍太の頬に炸裂した。

一瞬よろけながらもすぐに体勢を整えた龍太。


――…そういえば今度会ったら一発殴らせろって言ってた…。


ハラハラしながら2人を見ていたら

「ハハハ、容赦ねーな。相変わらず…こえー女」

ニヤリとしながら有紗を見る。

「フンッ!いっつも琴葉を泣かせてるからね。これぐらいは当然でしょ」

そんな有紗も顔は笑っていた。





そして、その後。

龍太は職員室で必要書類を受け取ると

何ヵ月ぶりかに図書室を訪れた。


「…懐かしいな」


ほんの数ヶ月前までは龍太もいたこの場所。


そして今日を最後にもう来ることもないんじゃないだろうか。

目を細めながら図書室をぐるりと見渡す龍太のその瞳が


不安と寂しさが入り交じっているようで

また、鼻の奥がツンとしてきてしまった。


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