金曜日の彼女【完】
「…思い出したのか…」

コクリと頷く。


そうだ―――…前に感じた。


この街に見覚えがあった。


あれは龍太との思い出。


この街で、ここで仲良くなって

そして―――…

幼い頃

さよならした場所。




「俺さ、あれからここには一度も来ることができなかった」


「―――…私は…何回か来た」

「え!?」



突然の別れ。

幼かった私達。


それでもさよならの意味は知っていた。



だから、約束した。


“ぼくを見つけて――…”


“今度、引っ越しするんだ。別のおうちに”

“引っ越すって…ことはのパパみたいに遠くに行っちゃうの?”

“うん…だからもう、ことはちゃんとは遊べない”


“えー、ヤだよ。もう会えなくなっちゃうの?”

“龍太、きっとまた琴葉ちゃんにも会えるわ”


指切り―――…。



また会えますように。


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