金曜日の彼女【完】
一番奥の部屋に入った龍太。
私はドアの前に立ち
「…ここは?」
龍太は柱を愛しそうに撫でながら
「俺の部屋…だったところ」
「龍太の…」
部屋を見渡してみる。
なにも置かれていない机。
布団も掛けられていない小さなベッド。
数冊の百科事典が置かれたままの本棚。
窓枠にある小さな傷。
「最後に会った日、一度だけ、ここに琴葉を入れた」
遊ぶのはいつも外ばかりだった。
確かに部屋で遊んだ記憶はない。
「…――約束」
「ああ」
「ここで…」
窓枠のその小さな傷にそっと指を這わす。
「そう――…ここであの約束を交わした」
あの幼い日の約束を
“さがして”“見つけて”
“指切り”“―――…えいえん”
「龍太…」
「ん…」
「ごめんね、忘れてて…」
その約束
守れてないよ―――。
ごめん…。
私はドアの前に立ち
「…ここは?」
龍太は柱を愛しそうに撫でながら
「俺の部屋…だったところ」
「龍太の…」
部屋を見渡してみる。
なにも置かれていない机。
布団も掛けられていない小さなベッド。
数冊の百科事典が置かれたままの本棚。
窓枠にある小さな傷。
「最後に会った日、一度だけ、ここに琴葉を入れた」
遊ぶのはいつも外ばかりだった。
確かに部屋で遊んだ記憶はない。
「…――約束」
「ああ」
「ここで…」
窓枠のその小さな傷にそっと指を這わす。
「そう――…ここであの約束を交わした」
あの幼い日の約束を
“さがして”“見つけて”
“指切り”“―――…えいえん”
「龍太…」
「ん…」
「ごめんね、忘れてて…」
その約束
守れてないよ―――。
ごめん…。