金曜日の彼女【完】
涙が―――…止まらない。

龍太――…誓ったはずの赤い指輪が霞んで見えるよ。


「もし、現れたら…今した約束は…忘れるんだ」


「…―――っ…そんなの無理っ…」

こんなに想っているのに?忘れろだなんて…。


「俺達は…やっぱりまだガキだからさ」

ポロポロと溢れ落ちる滴が龍太の手を濡らす。


「先は長いんだ…これから…いろんな人と出会うことになる――…」

「―…っだけど」

今、私の心の中にいるのは…


「ずっと…なんてないんだよ?永遠…なんて」

「――…そんなこと…ないっ」

声が涙で掠れる。



「約束した――…それは勝手だけど…やっぱり忘れないでほしいから…」

「忘れないよ…」


ギュッと龍太の腕を掴む。

忘れない――…忘れたくない。


「好きだよ、琴葉。だけど――…この約束でずっと縛りたく…ない」
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