金曜日の彼女【完】
とりあえずの問題がクリアになった私達は

お互いの時間が空けば、できる限り会う努力をしていた。

まるでお互いの不安な心を埋め尽くすように―――…。


もちろん、私には学校というものがあったし、龍太も出発の準備で忙しく。

思ったよりも時間はとれなかったけれど―――。



そして―――春休み。


龍太の出発まであと数週間と迫っていた。


「なあ、琴葉。デート…しよっか」

「デート!?」


そういえば―――…

金曜日だけの彼女だったときも

今、こうして会っていても、特にデートらしいデートをした記憶がない 。


フフ

自然と緩む頬。


「どこか行きたいところの希望はあるか?」

「うーん…」

龍太と行けるところなら、どこでもいいと思っているんだけど――…。


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