金曜日の彼女【完】

近づく別れの瞬間

今日は龍太と初めての映画デート。

なにを見ようかと2人で悩みながら

そんなありふれた小さな幸せが

今の私達にはとても大切な時間。



「…俺、恋愛モノはマジで勘弁な」

かなりイヤそうに右手で顔を覆う。

「えーっ!?じゃあ龍太はなにが観たいの?」

私はどちらかというと恋愛モノが好き。

「そりゃ、お前。とりあえずはアレとかだろ」

龍太が指を差したのは、人気のハリウッド俳優が出ていて、シリーズ化されている映画。

「えーっ。だって私、アレ今までのシリーズ観てない」

正直、私にとってはどうでもいい部類の映画。


「お前、アレぐらいは観ろよ。かなり有名だろ?」

「えー…――じゃあどっちを観るか、ジャンケンで決めよ?」

「……ベタだな」

「いいじゃん!ほらっ!ジャンケン―――…」

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