金曜日の彼女【完】
「…そんな言い方しなくても――…ちょっと聞いてみただけじゃん…」

拗ねる私に

「ああ?」

さらに眉間に深い皺を寄せて睨み付ける龍太。


なんなのよ…もう!

苛ついているのは私も同じだった。

「もういい!」

思わず部屋を飛び出して、えり子さんのところへ向かう。

「―――…あ…」

龍太の小さな叫び声を無視して……。



「えり子さん。なにか手伝うこと…ない?」

キッチンにいたえり子さんに声をかけてみる。


「琴葉ちゃん」

えり子さんはふわりと微笑しながら

「…ここはいいから…龍太の傍にいてあげて」

そっと背中に手を置かれる。

「――…でも…」

「…あの子も…不安なのよ…だから琴葉ちゃんについ甘えてしまってるの」

フフと笑うえり子さん。


不安なのは…私だけじゃない…。

ううん、きっと一番不安なのは―――… 。


「………戻りますね」

「…お願いね」

「はい…」

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