金曜日の彼女【完】
「でも…琴葉を泣かせたら許さないよ?」

有紗が竹内君に鋭い視線を送りながら忠告している。

――…ってかもうすでにヤバいんだけどね。

「こわっ!琴葉の母ちゃんかよ。この女」

へらへら笑っている彼にキレそうな…ってかもうキレてる有紗を沖本君が慌てて図書室から連れ出した。

「アハハハ、お前の友達ってすごいな。マジで俺殺されちゃう?」

「……かもね」

ジロッと彼を睨む。

「琴葉?…なに怒ってるのかな?」

…わかってるくせに!

その証拠にニヤニヤしながら私の顔を覗き込む。

「だって…この一週間…ずっと無視されてたし…竹内君の気持ちが…わからない…」

それだけ言うと彼から少し離れて椅子に座り直した。

すると彼はまた私に近づいてくる。

「だって琴葉は俺の金曜日の彼女…だろ?」

そう言って後ろから抱きついてくる。

…金曜日の…金曜日だけの…彼女。

この前、彼が言ったことは…本当だったんだ。

「それって…―――」

喉がグッと熱くなる。

頬を濡らすのは

一滴の――――涙。


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