金曜日の彼女【完】
「…特には…まだ…」

「N.Yには行く気はないの?」

「――…それは…」



ハイスクールを無事に卒業した龍太が

作本さんの事務所でカメラマンのアシスタントとして働き始めた話は

有紗を介して沖本君から聞かされていた。



まだアシスタントだけど、少しずつカメラの面白さがわかってきて楽しい、と。


そんな思いを共有することができない寂しさやもどかしさ。



大学はサークルや合コンの誘いがたくさんある。

最初の頃は断っていた私も

そんな寂しさを紛らすように参加することも自然と増えてきた。



そんな私を見ては有紗は鋭い視線を向ける。


なにもかもが中途半端な私にきっと――…。

いつも苛立ちを感じているだろうと思う。



ちゃんと待つって決めてる。

だけど―――――…

この頃見る夢。


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