金曜日の彼女【完】
「じゃあ、とりあえず出ましょ?」

服を着てホテルを出た。

でもその間も龍太は無言のまま。

…もしかしたら

別れ話でもされるのではないか…。

内心ヒヤヒヤしながら繁華街を2人で歩いた。




「ユカ…やっぱり腹減った。何か食いに行こう」

龍太が私の手を引っ張って目にとまったファミレスに入っていく。

少しホッとする。

けれど、ファミレスに入っても龍太はあまりしゃべらない。

私の不安は増すばかり。

料理が運ばれてきても龍太の一挙手一投足が気になり、食欲がわかなかった。


「ユカ?…食べないの?」

「あ…うん…なんか……食欲なくなっちゃったみたい」

「ふーん…じゃあそれもらっていい?」

そう言って私の返事を聞く前にグラタンを取った。

こういうところもホントに自分勝手。

…でも…そんなところも全てが好き。

4つも年下の男なのに…。



全てを食べ終わり席を立つ。

会計はいつも龍太。

この男は高校生のくせにけっこうお金を持っている。

デートするとき私は一度も支払ったことがない。

多分、家が金持ちなんだろうな、と。

詮索もできないから勝手に想像する。


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