金曜日の彼女【完】

水曜日の彼女

「貴明、いつもごめんね?」

「いいよ。今日は家庭教師が来る日なんだろう?」

「…うん、まあね」

「しょうがないよなー、水曜日は毎週遊べないのはわかってるし。…でもその家庭教師って男なんだろう?…浮気なんかするなよ」

そう言いながらキスをする。


「…ん…貴…あ…き…も…ダメ…だっ…て」

だんだん激しくなるキスを私は無理やり止める。

彼との甘い時間の終わり。

そして彼が帰ったのを確認すると鏡に向かう。

軽く化粧をし直すと服を着替え、家を出る。




いつもの待ち合わせの駅に着くと、彼がもう来ていた。


「龍太!ごめん、待った?」

「いや、俺もちょっと前に着いたばっかり」

龍太が私の髪を優しく撫でる。

そして顔を近づけたと思ったら



「今日も彼氏とヤった?」

と耳元でそっと囁く。

それだけで私は真っ赤になってしまう。

「クスッ…純菜、可愛い」

そう妖しく笑う。



私は純菜。

龍太の水曜日の女…らしい。


らしいっていうのも変だけど…

だって、私にはちゃんと彼氏がいるから。

貴明とはかれこれ2年半ぐらい付き合ってる。

だから龍太は浮気相手っていうことになる。

龍太も私に彼氏がいるのを知っているし、私も龍太に他に彼女がいるのを知っている。

まあ、龍太の場合、それを隠している様子もないけど…

私の場合は、さすがに貴明にバレるのはちょっと困る。

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