金曜日の彼女【完】
龍太と出会ったのは、人数合わせのために無理やり付き合わされた合コン。
そのとき、もう貴明がいたから合コンなんて冗談じゃないって思ってた。
だから終始つまらなそうな顔をしてどうにかこの時間を耐えていた。
自己紹介のときも、ろくに相手の顔も見ず、簡単に名前だけ言ってさっさと座った。
「ちょっと…純菜~、そんな顔しないで…見てみなよ。今日はなかなかいい男が揃ってるわよ?」
友達の文香がそっと耳打ちをしてきた。
「興味ないってば」
文香を軽くあしらってジュースを手に取ろうとした。
「―――あ!」
気づいたときには向かい側に座っていた人のジュースをこぼしてしまったあとだった。
「や、やだ!私ったら…ごめんなさい」
「大丈夫、服にはかからなかったから」
少し低めの澄んだ声の主をそのとき、初めて見た。
それが龍太だった。
龍太は笑って
「気にしないで」
そう言って新しいジュースを注ぎにいくために席を立つ。
思わず彼の背中を追ってしまった。
彼の…龍太の笑顔が気になったから。
笑っているのに、笑っていない。
なんだか、そんな気がしたから
私には貴明がいる。
そう自分の心の中で言い聞かせながら
私は彼に近づいていった。
そして気がついたときには彼の水曜日の女になっていた。
そのとき、もう貴明がいたから合コンなんて冗談じゃないって思ってた。
だから終始つまらなそうな顔をしてどうにかこの時間を耐えていた。
自己紹介のときも、ろくに相手の顔も見ず、簡単に名前だけ言ってさっさと座った。
「ちょっと…純菜~、そんな顔しないで…見てみなよ。今日はなかなかいい男が揃ってるわよ?」
友達の文香がそっと耳打ちをしてきた。
「興味ないってば」
文香を軽くあしらってジュースを手に取ろうとした。
「―――あ!」
気づいたときには向かい側に座っていた人のジュースをこぼしてしまったあとだった。
「や、やだ!私ったら…ごめんなさい」
「大丈夫、服にはかからなかったから」
少し低めの澄んだ声の主をそのとき、初めて見た。
それが龍太だった。
龍太は笑って
「気にしないで」
そう言って新しいジュースを注ぎにいくために席を立つ。
思わず彼の背中を追ってしまった。
彼の…龍太の笑顔が気になったから。
笑っているのに、笑っていない。
なんだか、そんな気がしたから
私には貴明がいる。
そう自分の心の中で言い聞かせながら
私は彼に近づいていった。
そして気がついたときには彼の水曜日の女になっていた。