金曜日の彼女【完】
―――…沖本君だった。

「沖本…君?」


「…沖本…なにって…私達は別に…ねぇ?」

明らかに動揺して目を泳がせている彼女達。

「龍太が…こういうの嫌いなこと…知ってるよね?」

…怖い。

今の彼を表す言葉にこれ以上のものはなかった。



図書委員のときの沖本君しか知らない私。


目の前にいる彼は、もの凄い目で彼女達を睨み、1人の女の子の腕を掴んだ、と思ったらその手を勢いよく離した。


当然、彼女はそのまま倒されてしまった。

「――…っ…沖本!なにするのよ!」

倒された彼女も負けてはいない。

起き上がると彼に掴みかかった。

「…なにって?」

彼は冷静に…違う……冷酷な表情で彼女にあるモノを見せた。


瞬間―――


彼女達は固まっていた。

あれは――…

沖本君が見せたモノ。


それは、携帯に写されたモノ。


私を壁に押しつけている彼女の写真。


そして私に罵声を浴びている映像。


いつから………撮ってたの?

「これを龍太に見せてもいいんだ…」

そう言って唇の端を少し上げ、ニヤッと笑う彼。

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