金曜日の彼女【完】
「えっ?さっき…の?」

コクと確認するように頷く彼。

「うん…初めて」

ホッとした表情で

「…そっか。よかった」

そう呟き

「…ゴメン」

突然、謝ってきた。

「――…え!?」



わけがわからず彼を見た。


「俺…実は…琴葉ちゃんが連れて行かれてるの…気づいてた」

「え?」

「もっと…早く止めてれば…こんな怪我なんかしなかったよな…本当にゴメン!」

これ以上は曲がらないんじゃないかっていうぐらいに頭を下げる。



そりゃ…早く、もっと早く止めてほしかったっていう気持ちがないわけでもない。

だけど、実際、あの証拠品があったからこそ、彼女達も早々に退散してくれたわけで

あれがある限り、彼女達ももう来ないんじゃないかってふと思ってしまった。

そんなに単純かどうかはわからないけど、そう願いたい。

「ううん…気にしないで…助けてくれて…ありがとね…」

「え!?…許して…くれるの?」

頭をおそるおそる上げ、私を見つめる

< 52 / 359 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop