金曜日の彼女【完】
――――…


――…

「……ん…」

薄ぼんやりと目を開けると白い天井が見える。

「…ここ…どこ?」

どうやら、ベッドに寝ているようだ。

ぼやっとした頭で考える。

ツンと薬品の匂いがする。

「――…あ」

ここ…保健室だ。

あのあと…倒れちゃった…のかな…。

今…何時ぐらいだろ。

体を起こそうとしたとき

「――…え?」

目に飛び込んできた光景。

私の寝ている横で私の手を握りしめ眠る龍太。

「…どう…して?」


金曜日だけしか付き合わない…キスもしない…他に彼女がいる…。

なのに――どうして?

どうしてそんなに優しく手を握るの?


…わかんないよ、龍太のことが。


沖本君が言った“琴葉ちゃんは特別”

その意味を知りたい。

私はどんどん貪欲になる。

龍太を知れば知るほど。

龍太の特別になりたいって思ってしまう。

いつか…特別な存在になれるときが来るって

信じても…いいのかな。


ねえ――龍太……。


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